妊娠中の食事パターンと子どもの自閉症リスク
妊娠中の母親の食事パターンは出生児の自閉症リスクに関連し、健康的な食事パターンの母親から生まれた子供ほど、自閉症と診断されるリスクが低いことが報告されています。
自閉症スペクトラム症(ASD)は、対人関係が苦手、強いこだわりといった特徴をもつ発達障害の一つです。その原因は不明で、生まれつきの脳機能の異常によるものと考えられていますが、今回、妊娠中の母親の食事パターンとの関連について調査が行われました。
ノルウェー母父子コホートとイギリスのエイボン親子研究という2つの大規模研究に参加した妊婦に、食物摂取頻度調査票を用いた食事調査を実施しました。そしてその結果から健康的な食事パターンにどれだけ近い食事であったかをスコア化し、そのスコアが高いグループ、中程度のグループ、低いグループにわけられました。
ノルウェー母父子コホートからは84,548件、エイボン親子研究からは11,760件の妊娠が対象となり、健康的な食事パターンの定義は、果物、野菜、魚、ナッツ、全粒穀物食品を多く、赤身肉や加工肉、清涼飲料水、脂肪分、精製炭水化物が少ない食べ方とされました。
一方、参加者の出生児は8歳になるまで追跡調査され、3歳と8歳時点で自閉症と診断されたかどうか、自閉症の症状が見られるかどうかとスコアの関係が調べられました。
分析の結果、母親の食生活が健康的な食事パターンであることは、子どもが自閉症と診断されるリスクの低下(ノルウェー母父子コホート)、社会的コミュニケーション障害のリスクの低下(ノルウェー母父子コホートとエイボン親子研究)と関連していました。
妊娠中の健康的な食事パターンは、自閉症と診断されたり、社会的コミュニケーション障害のリスクを低くする可能性があることがわかりました。
<コメント>
この研究で用いられた健康的な食事パターンの定義は、果物や野菜、魚、ナッツ、全粒穀物食品を多く、赤身肉や加工肉、清涼飲料水、脂肪分、精製炭水化物が少ない食べ方でした。
自閉症スペクトラム症の原因についてはまだ不明な部分も多く、今回の研究で結論づけることはできませんが、上記の食品をあまり摂らない女性や、加工食品を多く摂る女性は、食生活を改善することを考えてみてもよいかもしれません。