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慢性子宮内膜炎に対するプロバイオティクスの有効性

細川忠宏

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慢性子宮内膜炎の女性において、ラクトバチルス・クリスパタスが炎症を抑え、妊娠率の上昇につながる可能性があることが示されました。

慢性子宮内膜炎は不妊患者に多くみられる疾患の一つですが、原因となっている細菌が抗生物質に対する耐性を獲得することによって治療が困難になり、再発を繰り返すことも多くあります。

一方でプロバイオティクス、特に乳酸菌は慢性子宮内膜炎を含む生殖器感染症の治療に有用であることが知られています。

今回中国の研究グループが行った研究では、女性器の健康を保つうえで有用と考えられている乳酸菌のひとつであるL.クリスパタスが、慢性子宮内膜炎にどのような影響をあたえるかを調査しました。

研究には22-30歳の出産経験のある健康な女性から採取、培養した乳酸菌、L.クリスパタス・チェン01*を使用し、マウスおよび慢性子宮内膜炎女性で試験を行いました。

マウスでの試験を行った結果、L.クリスパタスは生殖器内の炎症性たんぱく質を抑え、細菌の増殖抑制により病原体を抑制し、慢性子宮内膜炎の炎症を軽減することが示されました。また胚の着床にプラスにはたらくことで、マウスの妊娠率の上昇につながることもわかりました。

慢性子宮内膜炎女性における試験では、中国の南昌生殖病院を受診し、体外受精を受ける20~38歳の慢性子宮内膜炎女性100名が対象となりました。参加者を抗生物質を投与するグループ(38名)、抗生物質に加えてL.クリスパタスを1日2回2週間にわたり投与するグループ(40名)、何も投与しないグループ(22名)の3つに分け、ホルモンの状態や妊娠率を比較しました。

その結果、L.クリスパタスを投与したグループでプロゲステロンの値や妊娠率、さらに子宮内膜の状態が改善されることがわかりました。

この研究結果から、L.クリスパタス・チェン01は、妊娠率の改善に有効である可能性が明らかになりました。

*L.クリスパタス・チェン01はL.クリスパタスの株の一種で、女性器の健康に役立つ可能性があることから注目され始めており、いくつかの研究が行われつつあります。

<コメント>
今回の研究で用いられた方法は、乳酸菌を直接腟に投与する方法でしたが、生殖器の細菌環境と腸内の細菌環境は密接に関係していることがわかってきています。

慢性子宮内膜炎でお悩みの女性は、医療機関での治療に加え、腸内の環境を整えることから意識すると良いかもしれません。