不妊の原因になる病気 食生活 (栄養)

PCOS女性におけるオメガ3系脂肪酸サプリメントの有効性

細川忠宏

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排卵障害や無排卵のPCOS女性は、オメガ3脂肪酸のサプリメントを補充することで妊娠しやすさに良い影響を及ぼす可能性があることが報告されています。

オメガ3系脂肪酸は、中性脂肪や悪玉コレステロールの低減、善玉コレステロールの増加につながり、また脂質代謝異常の改善や心血管障害の予防に有効と言われています。

また妊娠や出産に関しても良い影響を及ぼすという報告が多くあります。

一方、PCOSは脂質異常症と関連し、特に中性脂肪の上昇と善玉コレステロールの低下に関係しているとの報告がなされています。また、PCOS女性では、狭心症や心筋梗塞といった心血管障害の発症がPCOSでない女性に比べて多いという報告もあります。

そのため、PCOS女性のオメガ3脂肪酸サプリメントの摂取は妊活によい影響をあたえるのではないかと考えられていますが、今までに十分な検討はなされていてませんでした。

そこでイスラエルの研究グループは、排卵障害や無排卵のPCOS女性を対象に、オメガ3脂肪酸サプリメントの不妊治療成績への影響を調べました。

ホルモン療法を受けているPCOS女性34名をランダムに2グループに分け、一方のグループにはオメガ3脂肪酸サプリメント(EPA360mg、DHA240mg)を、もう一方にはプラセボ(偽の粒)をそれぞれ2週間摂取してもらい、その後の妊娠率を比較しました。

その結果、オメガ3脂肪酸サプリメントを摂取したグループでの妊娠率が26.7%であったのに対して、プラセボ摂取グループでは13.3%となり、サプリメントを摂取したグループの方が高い妊娠率となりましたが、統計学的に優位な差ではありませんでした。

さらに、被験者の中でBMIが25-35の、過体重や肥満の女性に絞って分析したところ、サプリメント摂取グループでの妊娠率は29.6%だったのに対し、プラセボ摂取グループでは5.3%となり、妊娠率に有意な差が見られました。

また、オメガ3脂肪酸をつかった治療によって有害な副作用はみられませんでした。

オメガ3脂肪酸サプリメントの摂取は、排卵障害や無排卵のPCOS女性において、生殖機能によい影響があることがわかり、特に過体重や肥満の女性では、不妊治療での妊娠率が改善されました。

<コメント>
今回の研究で使用されたのはオメガ3脂肪酸のサプリメントでしたが、オメガ3脂肪酸は魚に多く含まれています。

オメガ3脂肪酸は妊娠のしやすさとの関連について多く研究がなされており、PCOSの女性に限らず、普段の食事から魚の摂取を意識するとよいかもしれません。