ビタミン 母児の健康

葉酸サプリと子供のぜんそくリスクの関係は?

小浦ゆきえ

ずっと言われ続けてきた「ぜんそくリスク」

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子供の神経管閉鎖障害(二分脊椎症)の予防のために葉酸を摂ることは、妊活中の多くの女性が知っています。でも、どこかで「葉酸でぜんそくのリスクが高くなる」という話を聞いたことはありませんか?

葉酸と小児ぜんそくの関係が初めて取り上げられたのは、2009年のオーストラリアでの研究報告。「母親が1日1,000μgの合成葉酸サプリメントを妊娠後期まで利用しつづけた場合、子供がぜんそくになるリスクが1.26倍になる」というものです。

これが発端となり、ぜんそくを心配して「天然葉酸を探し回るプレママ」が出てきました。

とりあえずの結論は…

今回、過去の研究5報の結果をまとめて分析(メタ分析)した結果が報告されました。
その報告によると……

【論文】妊娠期の葉酸サプリメントと子どもの喘息の関連は

妊娠期の葉酸摂取は、子どもの神経管閉鎖不全の予防に効果的であるが、喘息のリスクに対する影響はわかっていない。この研究では、この点を明らかにするためメタ分析が行われた。
 5報の症例対照研究とコホート研究の結果の結果を統合すると、妊娠期の葉酸サプリメント摂取と子どもの喘息リスクに関連は認められなかった。
 しかし、中国で行われた子ども362名を対象とした症例対照研究においては、妊娠中の葉酸摂取量が36,000μg/日未満で喘息発症リスク低下、72,000μg/日以上でリスク上昇が認められたという。
 研究者らは、妊娠期の高濃度の葉酸サプリメント摂取は喘息リスクの上昇と関連しているかもしれないと考察している。
「健康食品」の安全性・有効性情報より引用

上限量を守れば 心配なし!

今回のメタ分析で報告された「葉酸サプリメントで子供のぜんそくのリスクがアップするかもしれない摂取量」は、72,000μg/日以上。これは日本の推奨量400μg/日の180倍にあたります。耐容上限量1,000μg/日と比べても72倍です。

つまり、 通常の葉酸サプリメント摂取(400~1,000μg/日)によってぜんそくになるリスクは「ない」と言っていいレベルですね。

というわけで、ひとまずの決着がついたので、妊活を意識したら、安心して葉酸サプリを利用しましょう。