男性の抗酸化物質の摂取とART治療成績の関係
男性のビタミンCやβカロテン摂取は良好な受精率に関連しました。ただし、妊娠率や出産率まで関連しなかったことがアメリカで実施された前向き研究で明らかになりました。
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、男性の抗酸化物質や関連化合物の摂取がART成績に関連するか否かを検討すべく、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べている現在進行中の研究)に参加している171組のカップルの294周期を対象にした前向き研究を実施しました。
ART治療開始前に食物摂取頻度調査票を用いて、過去1年間の131種類の食物の摂取頻度と1回のおよその摂取量、サプリメントの利用状況を調べ、栄養素の摂取量を推測し、各抗酸化物質や関連化合物の摂取量で4つのグループにわけ、治療成績との関連を解析しました。
その結果、男性のビタミンCの摂取量が多いほど受精率が高く、関連する因子の影響を調整した後の受精率(95%CI)はビタミンCの摂取量が最も少なかったグループでは69%(61-76)だったのが最も多かったグループでは81%(74-86%)(p=0.02)でした。
また、男性のβカロテンの摂取も受精率とポジティブな相関関係が認められましたが、それは顕微授精においてのみ(p=0.01)で、体外受精においては認められませんでした。
その一方で、男性のαカロテンの摂取は出産率とネガティブな相関関係にあり、調整後の出産率は、最も少なかったグループで43%(28-60%)、最も多かったグループで22%(12-36%)でした(p=0.04)。
同様にサプリメントからのβカロテンの摂取は着床率とネガティブな相関を示しました。
これらの結果から男性のビタミンC摂取は受精率と、βカロテンは顕微授精での受精率と、それぞれ、有意な正の相関が認められました。
ところが、αカロテンは出産率と、サプリメントからのβカロテンは着床率と、それぞれ、有意な負の相関が認められました。
男性の精子の量や質の低下には酸化ストレスが深く関与していることはこれまでの研究で明らかになっています。そして、ART治療カップルの男性パートナーが抗酸化サプリメントを摂取することで妊娠率や出産率の向上に寄与する可能性があることがコクランデータベースメタ解析でも報告されています。
それでは、男性の食事からの抗酸化物質の摂取はパートナーのART成績に関連するのか、ということがハーバード大学のEARTH研究で検証されました。
ビタミンCやβカロテンを多く摂取する男性ほどパートナーの受精率が高かったのは精しょう中の酸化ストレス低減が精子のDNA断片化の抑制に寄与したからではないかと筆者は推測しています。
また、βカロテンは顕微授精の周期のみで、体外受精では相関しなかったことについては、顕微授精周期は体外受精周期に比べて男性パートナーの精子の質が低いことからそのような結果になったのではないかと推測しています。
ただ、αカロテンのネガティブな相関については予想外だったとのこと。αカロテンの主な供給源はニンジンで、ニンジンの摂取は治療成績に関連しなかったことから、食べ方によるαカロテン以外の因子が存在するのではないかとしています。
あと、食事からのβカロテン摂取はポジティブに相関し、反対にサプリメントからのβカロテンの摂取がネガティブに相関したことについては、同じβカロテンでも、食品に存在するβカロテンとサプリメントに配合されている合成のβカロテン(100%all-trans型)の形態の違いが影響しているのかもしれません。
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、男性の抗酸化物質や関連化合物の摂取がART成績に関連するか否かを検討すべく、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べている現在進行中の研究)に参加している171組のカップルの294周期を対象にした前向き研究を実施しました。
ART治療開始前に食物摂取頻度調査票を用いて、過去1年間の131種類の食物の摂取頻度と1回のおよその摂取量、サプリメントの利用状況を調べ、栄養素の摂取量を推測し、各抗酸化物質や関連化合物の摂取量で4つのグループにわけ、治療成績との関連を解析しました。
その結果、男性のビタミンCの摂取量が多いほど受精率が高く、関連する因子の影響を調整した後の受精率(95%CI)はビタミンCの摂取量が最も少なかったグループでは69%(61-76)だったのが最も多かったグループでは81%(74-86%)(p=0.02)でした。
また、男性のβカロテンの摂取も受精率とポジティブな相関関係が認められましたが、それは顕微授精においてのみ(p=0.01)で、体外受精においては認められませんでした。
その一方で、男性のαカロテンの摂取は出産率とネガティブな相関関係にあり、調整後の出産率は、最も少なかったグループで43%(28-60%)、最も多かったグループで22%(12-36%)でした(p=0.04)。
同様にサプリメントからのβカロテンの摂取は着床率とネガティブな相関を示しました。
これらの結果から男性のビタミンC摂取は受精率と、βカロテンは顕微授精での受精率と、それぞれ、有意な正の相関が認められました。
ところが、αカロテンは出産率と、サプリメントからのβカロテンは着床率と、それぞれ、有意な負の相関が認められました。
男性の精子の量や質の低下には酸化ストレスが深く関与していることはこれまでの研究で明らかになっています。そして、ART治療カップルの男性パートナーが抗酸化サプリメントを摂取することで妊娠率や出産率の向上に寄与する可能性があることがコクランデータベースメタ解析でも報告されています。
それでは、男性の食事からの抗酸化物質の摂取はパートナーのART成績に関連するのか、ということがハーバード大学のEARTH研究で検証されました。
ビタミンCやβカロテンを多く摂取する男性ほどパートナーの受精率が高かったのは精しょう中の酸化ストレス低減が精子のDNA断片化の抑制に寄与したからではないかと筆者は推測しています。
また、βカロテンは顕微授精の周期のみで、体外受精では相関しなかったことについては、顕微授精周期は体外受精周期に比べて男性パートナーの精子の質が低いことからそのような結果になったのではないかと推測しています。
ただ、αカロテンのネガティブな相関については予想外だったとのこと。αカロテンの主な供給源はニンジンで、ニンジンの摂取は治療成績に関連しなかったことから、食べ方によるαカロテン以外の因子が存在するのではないかとしています。
あと、食事からのβカロテン摂取はポジティブに相関し、反対にサプリメントからのβカロテンの摂取がネガティブに相関したことについては、同じβカロテンでも、食品に存在するβカロテンとサプリメントに配合されている合成のβカロテン(100%all-trans型)の形態の違いが影響しているのかもしれません。