母児の健康

睡眠と肥満が不妊症へ与える影響

細川忠宏

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睡眠不足や肥満はそれぞれ不妊症のリスクを上昇させることが知られていますが、睡眠不足と肥満が組み合わさることでさらに不妊症のリスクが上昇する可能性がわかりました。

これまでの研究により、睡眠障害や睡眠不足は女性不妊のリスクを高めることが知られており、一方で肥満は正常な排卵や卵子、胚、子宮内膜の発育に悪影響を及ぼすとされています。

また睡眠と肥満は密接な関係にあることがわかっていることから、中国の研究グループは、睡眠の状態と肥満が不妊症リスクにどのような影響があるのかを調査しました。

2017年から2020年に行われたNHANES*のデータから睡眠や肥満に関するものを抽出し、不妊症との関連を分析しました。

その結果、研究の対象となった1577名の女性のうち191名が不妊症と診断され、不妊症の女性はそうでない女性に比べて、過体重、肥満、腹部肥満、7時間以下の睡眠時間、睡眠障害である割合が高いことがわかりました。

また、過体重、肥満、腹部肥満といった肥満の傾向と睡眠障害や7時間以下の睡眠の両方がある場合、不妊症のリスクはさらに上がることもわかりました。

*NHANES(米国国民健康栄養調査)は、日本の厚労省が実施している国民健康栄養調査にあたるもので、アメリカの疾病予防対策センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)が実施しています。

<コメント>
睡眠不足で、かつ肥満の女性は、妊娠するまでの期間が長くなる可能性が今回示唆されており、お子さんを望む女性は、体重や睡眠の改善に摂り組むことが大切かもしれません。