母児の健康 食生活 (栄養)

地中海食はメタボのハイリスク妊婦の妊娠糖尿病の発症リスクを下げる

細川忠宏

GDM
地中海食はメタボのハイリスク妊婦の母親や胎児の合併症の発症リスクを下げなかったものの、妊娠糖尿病の発症リスクは下げる可能性があることがイギリスで実施された他施設ランダム化比較対照試験で明らかになりました。

ロンドン大学の研究者らは、メタボ(肥満や高脂血症、高血圧)のハイリスク妊婦に、妊娠合併症のリスク低減に地中海食が有効かどうかを検討すべく、他施設ランダム化比較対照試験を実施しました。

5つの産科施設の7950名の妊婦からメタボでハイリスクの妊婦から条件に合う1252名を選別、抽出し、ランダムに地中海食群(593名)と対照群(612名)にわけ、地中海食群には妊娠18週、20週、28週に食事指導を受け、地中海食(ナッツやオリーブオイル、果物、野菜、無精製穀物、豆類、魚)を食べ、妊娠合併症の発症リスクを比較しました。

その結果、妊娠糖尿病の発症リスクのみ地中海食群で有意な低下が認められ、調整後オッズ比は35%低下しました(aOR 0.65, 95% CI 0.47-0.91,p=0.01)。

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常のことで、発症リスクの高いメタボの妊婦でも食事を地中海食のような健康的な食べ方に変えることで、かかりにくくなることがわかりました。

妊娠糖尿病は、その妊娠中にいろんな合併症の発症リスクが高くなるだけでなく、将来の糖尿病、さらには、出生児の成人後の糖尿病をはじめとする生活習慣病にかかりやすくなることがわかっています。

そのため、発症予防は出生児の長期間に渡る健康にも大きな影響を及ぼすことがわかります。