地中海食と精子の質
地中海食スコアが高い男性ほど精子濃度や総精子数が基準値を満たしていることがイタリアで実施された横断研究で明らかになりました。
ミラノの不妊治療クリニックでART治療を受けるカップルの男性パートナーに、体外受精のための採精日(採卵日)に食物摂取頻度調査票を用いて、78種類の食品や飲料について過去1年間の週あたりの摂取頻度と摂取量を回答してもらい、地中海スコアを算出しました。
地中海スコアの算出方法は、野菜や豆類、果物、穀物、魚、不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比、アルコールが被験者平均量よりも多ければ、各食品につき1ポイント付与、赤身肉・肉加工食品や牛乳・乳製品は被験者平均量よりも少なければ1ポイント付与され、合計ポイント(最小が0ポイント、最大が9ポイント)としました。
そして、地中海食スコアが低スコア群(0-3)、中スコア群(4-5)、高スコア群(6-9)の3グループにわけ、精液所見が基準値を下回る(精液量1.5mL未満、精子濃度1500万/mL未満、総精子数3900万未満)オッズ比を高スコア群を基準(オッズ比を1)として、解析しました。
その結果、精子濃度が1500万/mL未満は高スコアに比べて中スコアでは1.34(95% CI 0.69-2.50)、低スコアでは2.42(95% CI 1.21-4.83)で、同様に総精子数では、それぞれ、1.26(95% CI 0.66-2.42)、2.08(95% CI 1.05-4.12)と、地中海食スコアが低いほど精子濃度や総精子数が基準値を下回る男性が有意に多くなりました。尚、精液量は関連しませんでした。
このように地中海食は精子濃度や総精子数が少なくなるリスクが低いことと関連しました。
地中海食と生殖機能の関連については多くの研究がなされています。女性の体外受精の治療成績についても地中海食スコアが高いほど妊娠率、出産率が高いという報告がいくつかなされています。
この50年で男性の精子が減少しているという疫学研究の結果が報告されていますが、食生活の変化も影響しているのかもしれません。
地中海食スコアの算出方法はいくつかあります。今回の算出方法の地中海食の定義は以下の通りです。
・多く食べる食品
野菜、豆類、果物、穀物、魚、不飽和脂肪酸(オリーブオイルや菜種油等)、アルコール
・少なく食べる食品
赤身肉・肉加工食品、牛乳・乳製品