ビタミン 不妊の原因になる病気

PCOS女性におけるビタミンD補充の有効性

細川忠宏

AdobeStock_274247865
ビタミンDのサプリメント補充はPCOSの女性の妊娠率に有益な影響を与える可能性があることが示されました。

ビタミンDが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の妊娠率に与える影響を調査した研究です。PCOSによる排卵障害や無排卵は不妊の原因のひとつになり、ビタミンD不足がその症状を悪化させる可能性があることが知られています。

そこで中国の研究グループは、ビタミンDの補充がPCOS女性の妊娠率の改善につながるかを調べました。

はじめにPCOSの女性200人とPCOSではない女性200人で、血液中のビタミンD濃度を比較しました。次にPCOS女性160人を2グループに分け、一方にはビタミンDのサプリメントを、もう一方にはプラセボ(偽の粒)を飲んでもらい、血液中のビタミンD濃度やホルモンの状態を比較しました。

その結果、PCOSの女性はそうでない女性に比べて血液中のビタミンD濃度が低く、PCOSで妊娠した女性はPCOSで妊娠していない女性に比べて血中ビタミンD濃度が高いことがわかりました。

またビタミンDの充足状態によって比較すると、ビタミンDが欠乏している女性はそうでない女性に比べて妊娠率が低いことがわかりました。

ビタミンDサプリメントとプラセボの比較では、ビタミンDサプリメントの摂取が血液中のビタミンD濃度を上昇させ、ホルモンの状態を改善し、排卵誘発後の妊娠率もプラセボを摂取したグループと比べて高いことが分かりました。

ビタミンD欠乏はPCOS患者において一般的で、ビタミンD欠乏の女性はそうでない女性に比べて妊娠率が低いことが知られていますが、ビタミンDの補充によってホルモンの状態が改善され、妊娠率が改善される可能性があることが示されました。

<コメント>
PCOSではビタミンD欠乏やホルモンの異常(高いLH/FSH比、高いLH濃度、高いテストステロン濃度)がみられることが一般的ですが、ビタミンDを補充することでビタミンD濃度、ホルモンの状態が改善され、妊娠率も改善されたというものです。

昨年日本人の不妊治療中の女性を対象に行われた研究では、参加者の93.5%でビタミンDが不足していたという報告がなされています。

日本人は特に紫外線を避ける傾向にありますが、必要な量の多くは紫外線を浴びることで体内でつくられます。
ビタミンDの充足のためには、意識して日に当たり、また必要に応じてサプリメントでの補充も検討するとよいかもしれません。