男性のサイクリングと妊娠させる力との関係
男性が週に3時間以上のサイクリング(ソフトでコンフォートなサドルの自転車による)を行うと、パートナーの妊娠しやすさにマイナスの影響を及ぼす可能性が示唆されました。
男性の生活習慣と生殖機能との関連についてはさまざまな研究がなされており、適度な運動は生殖機能を向上させる一方で、激しい運動、特にサイクリングは生殖能力を低下させるという報告がなされています。
そこでデンマークの研究グループは、男性の運動の種類や強度、頻度と、パートナー女性の周期当たりの妊娠率との関連を調べました。
妊娠希望のカップルを対象として行われる2つの研究、北米のPRESTO研究(2013年〜2024年)とデンマークのSnart Foraeldre研究研究(2011年〜2023年)の参加者で、妊娠を試みた期間が6ヶ月以上のカップルの男性パートナー4921名が対象となりました。
そして被験者の運動の種類や強度、平均時間についての調査を1年間、または妊娠するまで行い、激しい運動や中程度の運動、サイクリングの実施時間とパートナー女性の周期あたりの妊娠率との関連を調べました。
その結果、男性の激しい運動や中程度の運動の週あたりの平均実施時間は、パートナー女性の妊娠率との関連性を見出すことができませんでした。
サイクリング全体でも関連性は見られませんでしたが、「ソフトでコンフォートなシートのサドル」を使用した自転車での週に3時間以上のサイクリングは、パートナーの妊娠率の低下と関連しました。さらに男性のBMIとの関連についても調べたところ、BMIが25以上の肥満男性においては、「ソフトでコンフォートなシートのサドル」の自転車でのサイクリングとパートナーの妊娠率低下は、同等もしくはより強い関連性が認められました。
デンマークと北米の両研究において、激しい運動や中程度の運動の実施とパートナーの妊娠率との関連は認められましせんでしたが、「ソフトでコンフォートなシートのサドル」を使用した自転車による週に3時間以上のサイクリングが男性の妊孕能(妊娠させる力)の低下と関連する可能性が、両研究のデータから示唆されました。
<コメント>
ソフトでコンフォートなサドルの自転車でのサイクリングがどのようなメカニズムで妊娠させる力に関連するのかは不明ですが、本研究の筆者らはサドルによる陰嚢の圧迫や陰嚢温度の上昇などが考えられるのではないかとの見解を示しています。
妊活男性にとって長時間のサイクリングには注意が必要なのかもしれません。