高齢女性の顕微授精では、精子のDNAの損傷の影響を受けやすい?
女性の年齢が40歳以上で、DNAに損傷のある精子の割合も高くなると、胚の発育にマイナスの影響があり、着床率や妊娠率の低下、流産率が増加してしまう可能性があります。
女性の年齢を36歳以下、36歳~40歳、40歳以上の3つのグループに分け、精液内にDNAに損傷のある精子の割合が30%未満の場合と30%以上の場合でそれぞれの不妊治療の成績を比較しました。
その結果、36歳以下と36~40歳のグループでは、DNAに損傷のある精子の割合にかかわらず治療の成績に差は見られませんでした。
その一方で、40歳以上のグループでは3日目良好胚率、胚胎盤到達率、良好胚盤胞率、着床率、妊娠率それぞれで、DNAに損傷のある精子の割合30%未満のほうが高い成績となり、流産率も低いという結果になりました。
その一方で、40歳以上のグループでは3日目良好胚率、胚胎盤到達率、良好胚盤胞率、着床率、妊娠率それぞれで、DNAに損傷のある精子の割合30%未満のほうが高い成績となり、流産率も低いという結果になりました。
このことから女性の年齢が40歳以上で、DNAに損傷のある精子の割合も高くなると、胚の発育にマイナスの影響があり、着床率や妊娠率の低下、流産率が増加してしまうことが示唆されています。
<コメント>
最近の研究では、男性の加齢によってDNAに損傷のある精子が増加する、という報告がなされています。
さらに精液中にDNAに損傷のある精子の割合が増えると、不妊治療にもマイナスの影響を及ぼすことが分かってきました。
さらに精液中にDNAに損傷のある精子の割合が増えると、不妊治療にもマイナスの影響を及ぼすことが分かってきました。
高齢の女性は卵子の質が低下してしまうので、損傷のある精子の割合が多いこと以外の理由ももちろん考えられますが、高齢の女性のART治療では治療前に男性の精子の質を改善することも推奨されています。
精子のDNAの損傷は、食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善や、抗酸化サプリメントでも改善が可能であることが報告されています。どのぐらいの割合で精子のDNAが損傷しているかを測定する検査(DFI検査)を行うことで、抗酸化剤が必要かどうか検討することが可能になります。